罪の坂
「カ●マの坂」を聴いての妄想話。
少年=シゲル、少女(この話の中では少年ですが)=サトシで。
だいたい歌詞をなぞっているだけの話です・・・。
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少年=シゲル、少女(この話の中では少年ですが)=サトシで。
だいたい歌詞をなぞっているだけの話です・・・。
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ある時代の、ある場所。
平穏など程遠い世界の片隅で、少年・・・シゲルは、生きるために日々盗みを働いていた。
醜く肥えた大人達には到底追いつけない速さで食物を奪い、ただ空腹を満たすことだけを考えて、風のように薄汚れた町を走り抜ける。
そんなことを繰り返してもシゲルの心は完全なる悪には染まらなかった。まるで子供の悪戯とでも言うように、幾度も罪を重ねる。
彼はよく暗い裏路地で呟いていた。
「天国も地獄すらも、この世界よりはマシだったら、喜んで行くのに。
人が皆平等だなんて、いったい何処のペテン師の台詞だろうね」
太陽は沈んで、また昇って、それを繰り返す。そしてシゲルもいつものように生きるための窃盗を繰り返す。
だがその日は、<いつも>とは少し違った。
露天からパンを盗んで逃げる途中、大きな行列とすれ違ったのだ。
シゲルはその行列の中の、黒髪の少年に目を奪われて立ち止まった。
人身売買など、この世界では珍しいことでもない。だが、遠い町から売られてきたであろう少年の、その漆黒の瞳から零れ落ちる透明な雫から、目が離せなかった。
少年が向かった金持ちの家を見届けたあと、シゲルは走った。
穢れなきあの少年の身体に汚らわしい男の手が触れるのが、我慢ならなかった。
だがシゲルには大きな力もなく、少年は抵抗する意思を持つ事を許されていなかった。
彼は走りながら、叫ぶ。
「神様がいるっていうなら、どうして僕らだけを愛してくれないんだ!」
日が傾くのを待って、シゲルは市場で剣を盗んだ。彼の身体には大きすぎる重い剣を引きずるその姿は、風と呼ぶには悲しすぎる姿だった。
罪の坂を登る。
抑えられない怒りと悲しみを切っ先に込めて薙ぎ払い、全身を赤く濡らしてたどり着いた先にいた少年は、
虚ろな瞳で、汚れたシーツを身に纏い、いっそ無垢な赤子のように微笑んでいた。
遅かったのだ、とシゲルは諭る。
ならばせめて、ここで楽にしてやろう、と。
最後の一振りを、少年に向かって振り下ろした。
涙は出なかった。
剣を下ろして肩で息をしていると、不意に、忘れていた空腹を思い出す。
「・・・・・そういえば、朝から何も食べてないんだっけ」
胸を刺すような痛みを感じていない訳ではない。
ただ剣を振りかざしたときの少年の微笑みを胸に焼き付けて、シゲルは町へと戻っていった。
<いつも>の日常へと、帰っていった。
ある時代の、ある場所。あったかもしれない物語。
平穏など程遠い世界の片隅で、少年・・・シゲルは、生きるために日々盗みを働いていた。
醜く肥えた大人達には到底追いつけない速さで食物を奪い、ただ空腹を満たすことだけを考えて、風のように薄汚れた町を走り抜ける。
そんなことを繰り返してもシゲルの心は完全なる悪には染まらなかった。まるで子供の悪戯とでも言うように、幾度も罪を重ねる。
彼はよく暗い裏路地で呟いていた。
「天国も地獄すらも、この世界よりはマシだったら、喜んで行くのに。
人が皆平等だなんて、いったい何処のペテン師の台詞だろうね」
太陽は沈んで、また昇って、それを繰り返す。そしてシゲルもいつものように生きるための窃盗を繰り返す。
だがその日は、<いつも>とは少し違った。
露天からパンを盗んで逃げる途中、大きな行列とすれ違ったのだ。
シゲルはその行列の中の、黒髪の少年に目を奪われて立ち止まった。
人身売買など、この世界では珍しいことでもない。だが、遠い町から売られてきたであろう少年の、その漆黒の瞳から零れ落ちる透明な雫から、目が離せなかった。
少年が向かった金持ちの家を見届けたあと、シゲルは走った。
穢れなきあの少年の身体に汚らわしい男の手が触れるのが、我慢ならなかった。
だがシゲルには大きな力もなく、少年は抵抗する意思を持つ事を許されていなかった。
彼は走りながら、叫ぶ。
「神様がいるっていうなら、どうして僕らだけを愛してくれないんだ!」
日が傾くのを待って、シゲルは市場で剣を盗んだ。彼の身体には大きすぎる重い剣を引きずるその姿は、風と呼ぶには悲しすぎる姿だった。
罪の坂を登る。
抑えられない怒りと悲しみを切っ先に込めて薙ぎ払い、全身を赤く濡らしてたどり着いた先にいた少年は、
虚ろな瞳で、汚れたシーツを身に纏い、いっそ無垢な赤子のように微笑んでいた。
遅かったのだ、とシゲルは諭る。
ならばせめて、ここで楽にしてやろう、と。
最後の一振りを、少年に向かって振り下ろした。
涙は出なかった。
剣を下ろして肩で息をしていると、不意に、忘れていた空腹を思い出す。
「・・・・・そういえば、朝から何も食べてないんだっけ」
胸を刺すような痛みを感じていない訳ではない。
ただ剣を振りかざしたときの少年の微笑みを胸に焼き付けて、シゲルは町へと戻っていった。
<いつも>の日常へと、帰っていった。
ある時代の、ある場所。あったかもしれない物語。
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