月の神子 前編
連作がなかなか書き進められないので、塾で課題の合間に携帯に打っていたモノを載せときます。
かぐや姫のようなパラレル(not女体化!)でグリレ。
色々付け足していったらまさかの長さになったので二つに分けます・・・。
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かぐや姫のようなパラレル(not女体化!)でグリレ。
色々付け足していったらまさかの長さになったので二つに分けます・・・。
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あなたの傍にいる。
月が二人を別つ、そのときまで。
「レッド!」
竹の生い茂る森林で、その少年の姿を認めたグリーンは、静かに岩に腰掛ける背中に声をかけた。
「・・・・帝?」
レッド、と呼ばれた少年はゆっくりと振り向いた。
「グリーン、でいいと言っているだろう。つい先頃帝の位に就いたからといって、俺とお前の間に何ら変わりがあるわけでもない」
「そうだな、グリーン」
レッドは笑う。笑いながら、今日も来てくれてありがとうと言って、その美しい赤の瞳を細めた。
「何を今更。年に一度都にやってくるお前とこうして語らうのは、十年前からの習慣だろうが」
「それもそうだなっ!」
それから二人は例年のように楽しく語らい、日が落ちるころに、また明日と言って別れた。
「・・・あ」
「どうした?グリーン」
帰るはずのところを突然足を止めて振り返ったグリーンに、レッドは訝しげに問いかけた。
「そういえば今年は、十五夜の日頃に少し早い彼岸花が咲くらしい。お前の瞳のような、見事な真紅の」
「・・・・・・へぇ」
「見に行かないか?」
「え?」
「お前はいつも十五夜の翌日に帰るだろう。ならば最後の日は帰る前に、俺と出かけないか」
いいだろう、と滅多にない微笑をたたえて尋ねるグリーンに、レッドも笑って答えた。
「うん、行きたいな」
行けるといいな。
そう言ったレッドが浮かべている笑みがどこか悲しそうだなんて、目の錯覚だろうと、グリーンは自分に言い聞かせた。
だが、その日から一日、一日と十五夜に近づくたびに、レッドは憔悴した様子でいつもの竹林に現れた。去年まではいつ会っても元気で、常に笑顔でいたのに、今はその面影も無い。話しているとき以外は辛そうに顔を歪めてうつむいていた。ところがその行動の理由を聞こうとすると、何でもないよと笑ってごまかすのだ。触れられたくないことなのだろうとグリーンはあえてそれ以上踏み込まなかったが、日が経つにつれいてもたってもいられず、十五夜が三日後に迫ったある日、グリーンは思い切ってレッドに理由を尋ねた。
「一体どうした。何があったんだ」
「えっ・・・」
「何でもない、なんて言うなよ?もうそんな言い訳じゃ納得しないからな」
話してみろ。
言葉とは裏腹に優しい口調で、グリーンは言う。
尋ねられたレッドはうろたえるように視線を泳がせる。それでも自分を真摯に見つめるグリーンと目が合い・・・しばし迷った後、決心したように頷いた。
泣きそうな顔で。
やがてレッドは、「信じてもらえないかも知れないけど」と前置きをして、静かに話し始めた。
「俺は十五夜の夜、月に帰らないといけないんだ」
「・・・・・何、だと?」
「俺は人間じゃない。月の国の民だ。俺は国の第二皇子だったから・・・夏至から十五夜までの間、人間界に降りて来て自由にすることを許されていた。でも国を継ぐ第一皇子が亡くなって、俺が国を治めることになったんだ。
だから月に帰らないといけない。帰ったら、きっともうこの世界にはやって来れない」
「・・・」
「きっと、」
二度と、グリーンに会えない。
「―――・・・っ!!」
「ごめんな。信じてもらえないと思う。こんな突拍子も無いこと・・・」
「っ嫌だ!!」
「へ、」
「お前を月へ帰すなんて・・・・二度と会うことが叶わないだなんて・・・嫌だ!!!」
叫ぶようにいいながら、グリーンはレッドを引き寄せて抱き締める。絶対に離さないと言わんばかりに、力強く。
「・・・信じて、くれるのか?」
「お前がそんな顔をして言うんだ、嘘であるはずが無い」
その言葉に目を見開き、グリーンの背中に腕を回しながら、レッドはぽつりと呟いた。
「うそなら、よかったのに」
楽しいときを二人で過ごして、笑って別れて、また来年って。
「そう、言えればいいのに・・・」
「レッド・・・、」
「かえりたくない」
レッドは細い腕に力を込めて、グリーンに縋り付くようにして、涙をこぼした。
「かえりたく、ないよ」
「もう会えないなんて、嫌だ・・・!」
悲鳴をあげるようにして叫んだレッドを、グリーンはますます強く抱き締めた。
自身の震える身体を押さえ込みながら。
そんな二人を、月だけが見ていた。
今までレッドは街の外れの家に滞在していたが、その日のうちに引き払い、グリ−ンの手配した山中の小屋に移り住んだ。月の光の届かないような山奥に。
「・・・家の周りを兵に守らせる。お前を連れてなんて行かせない」
「・・うん・・・」
来たる、十五夜。
月が二人を別つ、そのときまで。
「レッド!」
竹の生い茂る森林で、その少年の姿を認めたグリーンは、静かに岩に腰掛ける背中に声をかけた。
「・・・・帝?」
レッド、と呼ばれた少年はゆっくりと振り向いた。
「グリーン、でいいと言っているだろう。つい先頃帝の位に就いたからといって、俺とお前の間に何ら変わりがあるわけでもない」
「そうだな、グリーン」
レッドは笑う。笑いながら、今日も来てくれてありがとうと言って、その美しい赤の瞳を細めた。
「何を今更。年に一度都にやってくるお前とこうして語らうのは、十年前からの習慣だろうが」
「それもそうだなっ!」
それから二人は例年のように楽しく語らい、日が落ちるころに、また明日と言って別れた。
「・・・あ」
「どうした?グリーン」
帰るはずのところを突然足を止めて振り返ったグリーンに、レッドは訝しげに問いかけた。
「そういえば今年は、十五夜の日頃に少し早い彼岸花が咲くらしい。お前の瞳のような、見事な真紅の」
「・・・・・・へぇ」
「見に行かないか?」
「え?」
「お前はいつも十五夜の翌日に帰るだろう。ならば最後の日は帰る前に、俺と出かけないか」
いいだろう、と滅多にない微笑をたたえて尋ねるグリーンに、レッドも笑って答えた。
「うん、行きたいな」
行けるといいな。
そう言ったレッドが浮かべている笑みがどこか悲しそうだなんて、目の錯覚だろうと、グリーンは自分に言い聞かせた。
だが、その日から一日、一日と十五夜に近づくたびに、レッドは憔悴した様子でいつもの竹林に現れた。去年まではいつ会っても元気で、常に笑顔でいたのに、今はその面影も無い。話しているとき以外は辛そうに顔を歪めてうつむいていた。ところがその行動の理由を聞こうとすると、何でもないよと笑ってごまかすのだ。触れられたくないことなのだろうとグリーンはあえてそれ以上踏み込まなかったが、日が経つにつれいてもたってもいられず、十五夜が三日後に迫ったある日、グリーンは思い切ってレッドに理由を尋ねた。
「一体どうした。何があったんだ」
「えっ・・・」
「何でもない、なんて言うなよ?もうそんな言い訳じゃ納得しないからな」
話してみろ。
言葉とは裏腹に優しい口調で、グリーンは言う。
尋ねられたレッドはうろたえるように視線を泳がせる。それでも自分を真摯に見つめるグリーンと目が合い・・・しばし迷った後、決心したように頷いた。
泣きそうな顔で。
やがてレッドは、「信じてもらえないかも知れないけど」と前置きをして、静かに話し始めた。
「俺は十五夜の夜、月に帰らないといけないんだ」
「・・・・・何、だと?」
「俺は人間じゃない。月の国の民だ。俺は国の第二皇子だったから・・・夏至から十五夜までの間、人間界に降りて来て自由にすることを許されていた。でも国を継ぐ第一皇子が亡くなって、俺が国を治めることになったんだ。
だから月に帰らないといけない。帰ったら、きっともうこの世界にはやって来れない」
「・・・」
「きっと、」
二度と、グリーンに会えない。
「―――・・・っ!!」
「ごめんな。信じてもらえないと思う。こんな突拍子も無いこと・・・」
「っ嫌だ!!」
「へ、」
「お前を月へ帰すなんて・・・・二度と会うことが叶わないだなんて・・・嫌だ!!!」
叫ぶようにいいながら、グリーンはレッドを引き寄せて抱き締める。絶対に離さないと言わんばかりに、力強く。
「・・・信じて、くれるのか?」
「お前がそんな顔をして言うんだ、嘘であるはずが無い」
その言葉に目を見開き、グリーンの背中に腕を回しながら、レッドはぽつりと呟いた。
「うそなら、よかったのに」
楽しいときを二人で過ごして、笑って別れて、また来年って。
「そう、言えればいいのに・・・」
「レッド・・・、」
「かえりたくない」
レッドは細い腕に力を込めて、グリーンに縋り付くようにして、涙をこぼした。
「かえりたく、ないよ」
「もう会えないなんて、嫌だ・・・!」
悲鳴をあげるようにして叫んだレッドを、グリーンはますます強く抱き締めた。
自身の震える身体を押さえ込みながら。
そんな二人を、月だけが見ていた。
今までレッドは街の外れの家に滞在していたが、その日のうちに引き払い、グリ−ンの手配した山中の小屋に移り住んだ。月の光の届かないような山奥に。
「・・・家の周りを兵に守らせる。お前を連れてなんて行かせない」
「・・うん・・・」
来たる、十五夜。
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